『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』を見た
6月24日に発売となった『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』を見ました。
不可思議/wonderboyとは何者なのか。『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』の公式サイトから引用しよう。
孤高のポエトリーラッパー、不可思議/wonderboy。2009年に彗星のごとく姿を現した彼は、独特な言葉のセンスとパフォーマンスで脚光を浴びた。2011年には日本を代表する詩人 谷川俊太郎と共演し、本人許諾で「生きる」を音源化。透き通った声で歌われた同曲は、3.11直後の日本人に響き一晩で完売した。その勢いのまま待望の1stアルバムを発表。彼は確実に夢へと近づいていた。
しかしその約1ヶ月後、彼の人生は突然、幕をおろすことになる。当時24歳の若さだった彼の訃報に多くのファンが言葉を失った。それから3年以上の時が経った。彼がポエトリーラップに込めた想いは、下火になるどころかインターネットや仲間のライブを通じて広がり続けている。YouTubeの動画再生も40万回を超え、ファンを公言するクリエイターも増えている。
亡くなってからもう4年が経つ。とは言ったものの、僕が不可思議/wonderboyのことを知ったのは半年前かそこらである。Twitterのタイムラインに、誰かが投稿した「Pellicule」の動画が流れてきた。
既にこの世を去った者の詩として、僕のところには届いたのである。しかし、画面の向こうからこちら側に語りかけてくるような「Pellicule」には、死という事実とは対照的な、圧倒的な存在感を感じた。僕は普段はあまり音楽を聴かない人間なのだが、不可思議/wonderboyを知ってから、ほぼ毎日のように不可思議/wonderboyの詩を聴いている。
不可思議/wonderboyのいいなぁと想うところは、あくまで現実に踏みとどまりながら、希望を唄ってくれるところである。同じくらいの大きさの絶望と共に。
そんな詩から伝わってくるものは、映画の中で谷川俊太郎が「Living Behavior 」と評したように、生命力としか言いようがないようなものである。生命力そのものが、不可思議/wonderboyの身体を通して、詩という形で溢れ出ている。そんな感じだ。
【PV】生きる Reflection Eternal LHW? Remix / 不可思議 ...
そんな不可思議/wonderboyは生前どんな人間だったのか。そのことが知りたかったので、『Living Behavior 不可思議/wonderboy 人生の記録』を購入して見た。
この映画は、不可思議/wonderboyの関係者数名の語りによって、生前の不可思議/wonderboyの像が形づくられていくものとなっている。ある人は淡々と、ある人は涙を流し、ある人は満面の笑みで、思い出や自分の思いを語っていた。語らずにはいられないような姿を見ていると、語っていたというよりも、何かに語らせられていた、という方が正しいのかもしれない。今は亡き不可思議/wonderboyが、複数の語り手の身体を通して、感情や言葉という形で、不可思議/wonderboyの像を結んでいたのではないだろうか。それはまるで、生命力が、不可思議/wonderboyの身体を通して、詩という形で溢れ出ているように見えたのと似ている。不可思議/wonderboyの詩をバックに語る語り手の姿を見ていたら、そんな風に思えてならなかった。
不可思議/wonderboyがどんな人間だったのかを知ろうと思って観た映画だったが、観終わった後は、「不可思議/wonderboyはまだ生きてるじゃないか」という気持ちになった。他の人間の身体を通して、確かに不可思議/wonderboyはまだ生きているのである。語り手の個々のエピソードももちろん興味深かったが、語らずにはいられない背後の何かを感じ取れたことが、この映画を観れて良かったことだった、と個人的に思う。
なんだか、不可思議/wonderboyのことを最近知った音楽も何もわからない人間が、えらそうなことを言ったような記事になってしまったが、この記事も僕が書いたというよりかは、何かに書かされているということで、どうかお許しを。
ちなみに、不可思議/wonderboyの詩の中では、「未知との遭遇」の最後のところの歌詞が一番好きです。
不可思議, wonderboy 未知との遭遇 - YouTube
映画でもドラマでも小説でもないのに
次回予告なしの明日が気になって仕方ないなら
きっとそれは人はそれを幸せと呼ぶのです
人生はいつだって未知との遭遇
何百通りのフィクションよりも目の前の現実が
何より大切だと思うことができたなら
昔から人はそれを幸せと呼ぶのです
人生はいつだって未知との遭遇
何度も何度も練習してた言葉を
目の前で忘れてすべてを抱きしめたくなったら
そういう瞬間を人は生きてるって言うんだぜ
人生はいつだって ああいわずとも
映画でもドラマでも小説でもないから
僕たちの物語には最終回はないのですとか
今日くらい言っちゃってもいいんじゃないかなあ
ハッピーエンドじゃなくハッピーエンドレスな日々へ
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